どうも、整備士のナノ(@nanoj5512)です。
エンジントラブルの中でも割と起きやすく、有名なオーバーヒート。
エンジンがオーバーヒートしてしまうと、エンジン部品や原因となった部品の交換が必要になったり、最悪の場合エンジンごと交換しなくてはいけません。
それを防ぐ為に必要なのが定期的な液量確認などの定期点検です。
実際オーバーヒートしてしまった人の話を聞いてみると、
「突然煙が出た」「急にエンジンが動かなくなった」
という話をされるお客さんが多いです。
ですがエンジンがオーバーヒートする時には原因があり、オーバーヒートの前兆も車に起きています。
そんなわけで今回の記事では、エンジンがオーバーヒートしてしまう原因や症状、対処法について解説していきたいと思います!
Contents
エンジンのオーバーヒートとは?
エンジンのオーバーヒートとは、エンジンの熱が上がりすぎてその熱にエンジンが耐えられなくて起きる異常の事を言います。
エンジンは内部の燃焼室で、ガソリンと空気を混ぜた混合気を爆発させて動力を得ています。
爆発させて動力を得ているためエンジンは熱を持ちやすいのですが、その熱をクーラント液やエンジンオイルの作用によってエンジンを適正な温度に保っています。
オーバーヒートはその冷却作用が何かしらの原因によって作用しなかった時、又は冷却作用異常の負荷(スポーツ走行など)が掛かった時に、エンジンの熱が高まりすぎて起こるエンジン異常です。
エンジンがオーバーヒートする時の症状
エンジンがオーバーヒートを起こすときや起こす前には車にその症状が表れています。
- 水温計や水温警告灯
- エンジンが吹け上がらない
- エンジンルームからの異音
- エンジンルームからの煙
オーバーヒート時にはこれらの症状が車に起こります。
水温計や水温警告灯
オーバーヒート時に一番わかり易い症状は水温計や水温警告灯の表示です。
車のメーターにはスピードメーターやタコメーター(エンジン回転数)、燃料計の他にエンジンの冷却水温を示す水温計が搭載されています。
その水温計の目盛りがHighに近ければ近いほどエンジンの冷却水温は高いということで、この水温が高い時はエンジンの熱も高まっていてオーバーヒートする可能性が高いです。
もしくは既にオーバーヒートを起こしているかもしれません。
また水温計が搭載されていない車でも、水温が高い時に現れる水温警告灯があり、それが点灯したら水温が高まっているときの合図になります。
エンジンが吹け上がらない
走行中に「エンジンが吹け上がらない」「アイドリングが安定しない」と言った違和感は、エンジンがオーバーヒートしている可能性があります。
エンジンが吹け上がらない時などには様々な要因がありますが、エンジンがオーバーヒートを起こすとエンジンのヘッドガスケットが抜けたり、シリンダーブロックが溶けたりしてエンジンの圧縮が抜けます。
そうなるとエンジンが動力を起こす燃焼が正常に行われなくため、エンジンが吹け上がらなかったりアイドリングが安定しないのです。
エンジンルームからの異音
オーバーヒートを起こす前にエンジンルームから異音がする場合があります。
エンジンルームから「カラカラ」「キンキン」など鳴っているときは明らかなエンジン異音で、エンジン内部の部品や補機類から音が出ている場合がほとんどです。
それらの異常が音として聞こえて来るとエンジンオーバーヒートする前兆かもしれません。
エンジンルームから煙
エンジンがオーバーヒートする際にはエンジンルームから煙が見えることがあります。
この煙はエンジンルームの何かが燃えているわけではなく、クーラント液が熱で蒸発したときの水蒸気です。
オーバーヒート原因でもあるラジエーターやホース類、ラジエーターキャップなどから冷却水が漏れて、その冷却水がエンジンの熱で蒸発してるときの煙です。
エンジンがオーバーヒートする時の原因
エンジンがオーバーヒートする原因は大きく分けて2つあります。
- エンジン冷却
- その他の原因
この2つについても詳しく解説していきます。
エンジン冷却
エンジンを冷やすための冷却システムは様々な部品で構成されています。
その部品のどこかが壊れてしまうと、エンジンに冷却水が循環出来なくなって、エンジンが冷えずにオーバーヒートしてしまうのです。
クーラント液(冷却水)
クーラント液はエンジンを冷やすために必要な液体です。
エンジン内部を循環してエンジンの熱を奪いラジエーターに流れて、そこで走行風や電動ファンの風でエンジンの熱を逃してまたエンジンに戻っています。
このクーラント液はオイルとかと一緒で、経年劣化による交換時期があります。
この交換時期を過ぎてもクーラント液を交換しなかった場合に、劣化が進み本来の役割を果たせなくなってオーバーヒートしてしまうのです。
ラジエーター
ラジエーターはエンジン内部から熱を奪って出てきたクーラント液を、走行風や電動ファンによって冷やすための部品です。
熱伝導性の高いアルミや銅で作られている部品で、走行風などで簡単に冷えるような仕組みに鳴っているのが特徴です。
このラジエーターが何かしらの衝撃や継ぎ目の部分から冷却水が漏れるとエンジンがオーバーヒートしてしまいます。
またラジエーター本体だけでなくそれにつながっているホース類やラジエーターの圧力を保っているラジエーターキャップが漏れたり破損してもエンジンはオーバーヒートしてしまいます。
ウォーターポンプ
ウォーターポンプはクーラント液をエンジンに潤滑するためのポンプの役割をする部品です。
タイミングベルトによってクランクシャフトとつながっているため、エンジン回転と同期してクーラント液をエンジン内部に循環しています。
経年劣化によってウォーターポンプから水が漏れたり、タイミングベルトの寿命によりこの部品が動かないとオーバーヒートの原因となってしまいます
サーモスタット
サーモスタットはエンジンの温度を適正に保つための装置で、バルブを開いたり閉じたりして作動しています。
冷却水が熱くなった時に開いて冷却水が循環する量を増やしたり、エンジン始動時の温まって無い時には閉じて冷却水量を制御したりします。
このサーモスタットが錆や劣化によって、バルブ開閉ができなくなると冷却水を循環させることができなくなりエンジンのオーバーヒートに繋がります。
電動ファンと水温センサー
電動ファンはラジエーターに風を当てる部品で、冷却水温を測っている水温センサーからの信号で動いています。
水温センサーが冷却水温度の高まりをキャッチして電動ファンに信号を送って動いています。
電動ファンが信号をキャッチできずに回らなかったり、水温センサーが壊れて水温が測れなかったりするとエンジンはオーバーヒートしてしまいます。
その他の原因
エンジン冷却システムの異常による、エンジンオーバーヒートが多いのですが、その他にもエンジンがオーバーヒートしてしまう原因はあります。
スポーツ走行
エンジンを高回転で回すサーキットなどでのスポーツ走行はエンジンにとって高負荷となります。
スピードをだすとその分走行風がラジエーターに当たり、クーラント液は冷えやすいのですが、それ以上のエンジン負荷がかかるとエンジンはオーバーヒートしてしまいます。
冷却性能を上回るエンジンの負荷はオーバーヒートの原因になってしまうのです。
エンジンオイル
エンジンオイルが不足していると、オイルの役割である潤滑や冷却が出来なくなります。
基本的にエンジン冷却の部分はクーラント液が担っているのですが、燃焼室以外のクランクシャフトやカムシャフトに直接触れているエンジンオイルも冷却の一端を担っています。
またエンジンオイルがエンジン内部を潤滑しないと、部品同士で金属摩擦が起きて削ってしまったり摩擦による熱も発生してしまいます。
エンジンの漏れや滲みなどによりオイルが不足しているとこうなってしまうのです。
加えてオイルの交換時期を大幅に過ぎてエンジンオイルの劣化が激しいときも、エンジンオイルの役割を果たすことは出来ません。
これらがオイル関係の原因でもエンジンはオーバーヒートしてしまうのです。
オーバーヒートしたときの対処法
エンジンがオーバーヒートすると、車はまともに走ることが出来ません。
そのため症状が出たときにはすぐに安全を確保した上で停まることが大切です。
水温計がHighを示しているだけであれば、エンジンの熱が収まるのを待って走行することが可能ですが、殆どの場合は自走は無理なのでレッカーサービスにお願いするしかありません。
自分が加入している保険会社のレッカーサービスや、お世話になっている修理工場などにお願いするか、JAFなどのレッカー専門のプロに頼みましょう。
加入している保険会社にお願いするときは保険の証券をみると、緊急の連絡先や問い合わせが載っていることがほとんどなので参考にしてみてください。
修理工場にお願いした結果、JAFや保険会社に連絡を取ることになることがありますが、一度連絡しているので修理工場が受け入れ体制に入ってくれるので、車の預け先や代車が必要なときでも安心です。
オーバーヒートした後の修理
ここまで見てエンジンのオーバーヒート原因や症状が分かったと思います。
エンジンがオーバーヒートしてしまうと、冷却システムが壊れてしまっていたり、エンジン本体が壊れている場合がほとんどです。
そのためオーバーヒートした後は該当する部品を交換するしかありません。
原因となった部品によってですが、冷却システムでいうと付随する関連部品も交換しなくてはならないため、修理代金はとても高くなってしまいます。
また初期症状で見つけられたときはそれで済むものの、オーバーヒートがひどい時はエンジンと異常のある部品を交換しなくてはならなくなるため注意が必要です。
この修理代金が高くなりすぎてしまい、新しい車の購入を検討する人も多くいると思います。
そんなときは車を買取査定をしてみて、自分の車の査定額を確認するのも一つの手です。
またエンジンがひどいオーバーヒートをしていても値段がつく場合があるので、確かめて見るのも良いかもしれません。
まとめ
今回の記事ではエンジンのオーバーヒートについて解説しました。
オーバーヒートするときの症状や原因は色々あって自分では判断できないこともあるので、何かしら異常を感じたら修理工場に持っていくのが良いと思います。
また定期点検をしているとクーラント液の量やラジエーターの漏れ、エンジンオイル交換など様々な箇所を点検整備してくれるので、定期点検は欠かさずに行くことをオススメします。
また自分でも日常点検を行うことが車に乗る上で大切です。
今回の記事がエンジンのオーバーヒートについて知りたい人や困っている人の参考になれば幸いです。